祈り花

小説

序章

僕は別に変に病んでるとか変わり者だとかそう

ゆうつもりは一切ない。ただ、人より物事を深

く考えるだけ。自分の中のプライドのようなものは確かにあってでもそれは誰も理解ができな

い1本の細い糸を渡っているよう。この1本の糸

は自分の中ですごく硬く、そしてその糸の想い

は固い。僕はそんな人間だ。僕を変わり者だ、

という人は確かにいるかもしれない。そこで僕

は問いたい。僕で変わり者だなんていう人がい

るならば、みんなそうじゃないだろうか?だっ

て、人それぞれとか十人十色とかそういったア

イデンティティを守るような言葉がこの世には

たくさん存在する。だからみんなちがうからみ

んな変わり者だ。変人だ。そんな事考えている

大学2年生の春。1年生の初々しさは無く、3.4

年生のような就職に対する危機感がない。そん

な中途半端な学年である。ハメを外すならこの

学年。二十歳になって税金も納めるようになっ

てタバコ、お酒も社会的に解禁されて、物事の

判断を本格的に自分で決めなきゃいけない。そ

んな中途半端にみえて一番面倒くさい学年。

そんな中君に出会った。別に恋愛大好きとか

そういう訳じゃない。彼女という存在はいて損

は無い。世間ではそれだけで勝ち組って言うし

リア充とかいう訳のわかんないけ

れど都合のいい言葉まである。

 そして確かにこれは恋の話だけどそんなありふ

れた幸せなものじゃない。

負の幸せを目指す、僕と君の物語。

街中を通り過ぎる肩を組んだ恋仲の人達とはま

たちがう、リアルが目に見えるようなそんな寂

しいけど激しい、そんな恋だったと思う。

君と出会ったのは自殺者が一番多い5月で桜が

散った季節だった。